看護師がママになって子育てをしながら働くことを決めた時、働きやすいという理由で手術室勤務を勧められた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
手術室勤務は、子育てとの両立が難しい印象を与えがちですが、実は驚くほど働きやすい環境が整っているんです。
手術室は病院の中でも特殊な場所です。もともと手術室で働いていた経験があるならばともかく、関わったことがほとんどない部署であれば、不安にもなりますよね。
看護師ママにとって、手術室は本当に働きやすいのか。そんな疑問を抱えているあなたに、私の体験談をお届けします。
看護師ママたちの声から得られるメリットをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
看護師ママが働きやすいと感じる勤務形態は?
看護師ママが働きやすい職場というのは、具体的にどのような職場でしょうか。
病院勤務の看護師ママ8人に聞いてみました。
・残業がない。
・夜勤がない。
・子どもより先に家に帰れる。あるいは子どもと一緒に帰れる。
・突然のお休みが取りやすい(子どもの発熱、体調不良など)。
・人間関係のいい職場。
・有給の取りやすい職場。
・院内保育が充実している。
・給料がいい。
なるほど、子どもと同じ生活リズムで働ける職場ということですね。
看護師ママの大半は子育ての多くを担っていますからね。
有給が取りやすければ、子どもの突然の体調不良にも対応できますね。
そうですね。さらに給料が良ければ言うことなしです。
今の日本において、家事や育児の多くは女性が担っています。
家事や育児を担う男性も増えてはきましたが、まだまだ女性が大半を担っているという家庭が多いのではないでしょうか。
女性が働くことで、パートナーと家事や育児を折半できれば負担も軽減されるのですが、なかなか難しいのが現実です。
看護師ママが勤務しやすい条件の中には、「子育てしやすい職場」が入っているということですね。
病院では残業、夜勤については部署によって異なります。また病院のほとんどは夜勤勤務がありますが、多くの診療所では夜勤はありません。
残業に関しては病院、診療所によって差がありますが、日本医療労働組合連合会が2022年に実施した「看護職員の労働実態調査」によれば、全体の9割弱が時間外労働(残業)を行っているという結果となりました。
子どもの体調不良などによる突然の欠勤や有給に関しては、職員の少ない診療所よりも、職員の多い大きな病院の方が取りやすいです。
院内保育の有無にしても、日本医療労働組合連合会が2022年に実施した「2022年度院内保育所実態調査」によれば、院内保育所を設置している病院は約9割。病床数の多い病院ほど設置されているそうです。
すべての条件を満たせる勤務先を見つけるのは難しいかも知れませんので、優先順位を決めて選びたいですね。
看護師ママが手術室で働く5つのメリット
看護師ママが手術室で働くメリット5つについて具体的にご紹介します。
メリット①夜勤のない病院が多い
手術室勤務は主に日中の時間帯に行われることが多いため、夜勤のない病院がほとんどです。
看護師の夜勤を設けている病院は大きな病院で、長時間の手術や、緊急手術に対応するために配置します。
他では緊急手術など、時間外の勤務が必要な時に呼び出しのかかる「オンコール体制」の病院もあります。こちらは別名「待機」とも呼ばれます。
頻繁に呼ばれる病院もあれば、名ばかりの体制で、ほぼ呼ばれない病院もあります。
病院で夜勤のない部署は限られます。看護師ママには大きなメリットですね!
私の体験談!
私は独身の時と、結婚後とで二度手術室勤務を経験しています。
独身の時勤めていたのは三次救急を担う病院でしたので、長時間の手術や緊急手術があり、看護師ママはほぼいませんでした(看護師パパは数人いました)。
結婚後はパートナーの転勤に合わせて転職したのですが、育児を考慮して緊急手術がほぼないという総合病院を選びました。
オンコール体制はありましたが、結局一度も呼ばれたことがなく名ばかりでした。
看護師ママが半分を占めていましたし、勤務形態が嫌だという愚痴もほぼ聞かなかったので働きやすかったのだろうと思います。
メリット②土日出勤が少ない
手術室は基本的にカレンダー通りに稼働します。このため、土日はほとんど休日となります。
子どもの予定、土日休みのパートナーとほぼ同じですね。
ただし、夜勤やオンコール体制のある病院では土日に出勤することもあります。
子どもとほぼ同じ生活リズムです!
私の体験談!
緊急手術を行わない病院に勤務した時は、土日出勤は一度もありませんでした。
子どもにたくさん触れ合えますし、家族団らんの時間も過ごせます。
子育てするなら大きなメリットですね。
メリット③ほぼ定時で帰ることができる
ほとんどの病院では残業がほぼありません。
残業の有無の目安は、緊急手術や長時間の手術があるかどうかということにかかってきますが、手術室は比較的拘束時間の少ない部署と言えます。
日勤は8時30分ごろに勤務スタートしますが、定時に帰れるならば17時~17時30分には退勤できます。
・幼児…幼稚園の場合は場所にもよりますが、保育園やこども園の延長保育を使えばお迎えに間に合います。
・小学生…学童保育を使えばお迎えに間に合います。
私の体験談!
夜勤の有無同様、緊急性の高い患者を受け入れるかどうか、病院のシステムによって変わってきます。
私が三次救急の病院に勤めていた時は残業もありましたが、緊急手術のほぼない病院に転職してからは、一年のほとんどを定時で帰っていました。
メリット④勤務時間が予測しやすい
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | ||
room1 | AM | 耳鼻 | 形成 | 耳鼻 | 形成 | 形成 |
PM | 耳鼻 | 形成 | 耳鼻 | 形成 | ||
room2 | AM | 眼科 | 外科 | 口外 | 外科 | 眼科 |
PM | 眼科 | 口外 | 外科 | 外科 | 外科 | |
room3 | AM | 心外 | 心外 | 整形 | 心外 | 整形 |
PM | 心外 | 心外 | 整形 | 心外 | 整形 | |
room4 | AM | 脳外 | 脳外 | |||
PM | 脳外 |
手術は基本的に上図のようにスケジュール表に基づいて行われます。
医師が、手術を行うにあたって必要な人材(執刀医、麻酔医、助手、MEなど)を確保した上で、手術室の空きを確認して予定を入れます。
緊急手術を行うこともありますが、そうでないものは基本的にスケジュール通りに行われます。
手術の種類によって終了時間の目途がつくので、子育てや家事のサポートの準備もしやすいのです。
メリット⑤専門スキルの習得ができる
手術室は病院の中でも特殊な部署です。様々な手術に携わる機会があるため、手術室勤務でしか得られにくい専門的な知識や技術を習得することができます。
子育てを考慮して夜勤や残業が比較的少ない手術室を選んだとしても、専門スキルを習得することで、ゆくゆくは認定看護師への道を切り開き、キャリアアップをはかることできます。
認定看護師になると、夜勤の減少や免除となる場合があります。
また昇進のチャンスが増えたり、資格手当が出ることもありますよ。
私の体験談!
手術室では医師のサポートと介助が主立った仕事なので、介助のスキルが高く、様々な物品や器材に精通しています。
私が他部署に移った時も、処置に必要な器具はすぐにわかりました。
外来や処置室などで行う縫合についても糸の種類、器具の扱いなど含めて困りませんし、清潔操作も得意とするところです。
また手術看護の分野で、認定看護師の資格を取得することもできます。
ただ、取得にはまとまった時間や費用の投資が必要となりますから、認定看護師取得について支援してくれる病院で目指すのがオススメです。
またお子さんが小さいうちは、家族がよほど協力的でないと取得することは厳しいので、独身のうちに取得するか、お子さんの手が離れた辺りで取得がすると良いです。
幸い、認定看護師取得に年齢制限はありません。
看護師ママが手術室で働く4つのデメリット
看護師ママが手術室で働くデメリット5つについて具体的にご紹介します。
デメリット①新しく覚えることが多い
手術室は特殊な部署だけに、扱う物品やこなす仕事が他の部署とはまったく異なります。
手術器具や器材の名前、使い方、洗浄方法、メンテナンス。手術の準備の手順、フォロー、後片付け。すべて覚えなくてはいけません。
また医療機器メーカーなど外部の業者の対応や、MEや臨床検査技師、診療放射線技師など他職種との連携も必要となってきます。
私の体験談!
私の知る限りでは、他部署の看護師が手術室勤務をためらう一番の理由が「新しく覚えることが多いのがつらい」でした。
病棟などで経験を積んでも手術室では業務ががらりと変わってしまいます。
何も知らない新人の時に配属されるならまだしも、中堅、ベテランとなってから異動するには、強い決心がいるようです。
逆に新しく覚えることについて負担に感じないタイプの方は、余裕をもって勤務出来るかもしれません。
デメリット②身体的・精神的な負担が大きい
手術中、直接介助(器械出し)を行う看護師は終始立ちっぱなしで大きく動くことができません。
また手術の進行に合わせた介助が必要なので、集中力と緊張感が必要となります。
間接介助(外回り)の看護師は、執刀医、麻酔医、直接介助の看護師、その他職種のサポートを行わなければならないので、より広い視野と行き届いたサポート力が必要とされます。
やはり身体的負担も精神的負担も大きいものとなります。
体力勝負な面もあるので、手術室勤務には男性看護師も多いのです。
私の体験談!
一度手術が始まると、安易にトイレに行くことができません。私もですが、手術室に入る看護師は皆、水分制限などをしていました。
直接介助に関しては、足だけでも少し運動できるといいのですが、大抵は台の上に載って介助するので安易に動けません。
私は長時間の手術の後は足がパンパンにむくんで、マッサージが欠かせませんでした。
むくむのもなかなかつらいですが、腰痛がある方は避けた方が無難だと思います。
長時間の手術を行う、とある科の医師などは腰痛に悩まされていましたし、常にコルセットをしていました。
デメリット③患者さんとコミュニケーションをとる機会が少ない
手術室勤務の看護師の仕事は手術に関することに特化しているため、患者さんとコミュニケーションをとる機会が限られています。
術前訪問と術後訪問で病床を訪れる時、また麻酔がかかる前の短い時間くらいです。
患者さんに寄り添った看護をしたいと考える方には物足りなく感じることもあるでしょう。
私の体験談!
患者さんと直接話したい、日常のケアをしたい、と考える方にはデメリットとなってしまうかもしれませんが、手術のサポートも患者さんの安心安全を守る立派な看護です。
手術の進行をスムースにするのはもちろんですが、手術は患者さんやご家族にとっても不安なものです。
いかに緊張を和らげたり、安心してもらえるように働き掛けるのも立派な看護ですので、必ずしもデメリットばかりではないと私は思っています。
デメリット④得られるスキルが限られる
手術室勤務は特殊な部署だけに、他部署へ異動した時に、手術室で培ったスキルを発揮しにくいと感じる方も多くいます。
手術室では、各種検査や血管確保は医師が行いますし、看護師は日常的なケアも行いません。手術室から他部署に移った時には、初めて経験することも多いでしょう。
私の体験談!
初めて配属された部署が手術室だった私の友人看護師は、手術室勤務について難なく馴染みベテランにまでなりましたが、逆に病棟に異動するのが不安だと言っていました。
しかし、手術に関連する多くの知識があり、サポートに特化したスキルを得ていましたから、本人が心配したような問題もなく、他の部署に行っても頼もしい戦力になってました。
まとめ
看護師ママが手術室で働くメリットとデメリットについてまとめてみました。
■看護師ママが手術室で働くメリット
①夜勤のない病院が多い
②土日出勤がない
③ほぼ定時で帰ることができる
④勤務時間が予測しやすい
⑤専門スキルが習得できる
■看護師ママが手術室で働くデメリット
①新しく覚えることが多い
②身体的・精神的な負担が大きい
③患者さんとコミュニケーションをとる機会が少ない
④得られるスキルが限られる
看護師の勤務形態だけで言えば、手術室は看護師ママにとって比較的働きやすい職場であると言えます。
しかし、専門の勉強は必要ですし、精神的ストレスの多い部署でもありますので、優先順位をはっきりさせてから臨むことをオススメします。
【個人的にオススメな手術室の選び方】
もしあなたが病院の手術室勤務を希望される場合、夜勤はあるのか、オンコール体制なのか、また残業の長さや頻度、突然の欠勤が可能かなど、前もってリサーチすることを私はオススメします。
せっかくなら理想に近い勤務形態の病院で働きたいですね。
コメント